監察医制度がない地域では、警察嘱託医等が変死体について検案する。ところが解剖に至るケースは少ない。変死体の死因のほとんどが「心不全」となる事態も起きているという。
阪神・淡路大震災時も、一般の医師が焼損した死体について付けた死因の大半は「焼死」だった。監察医なら、不完全燃焼ガスで死んだ後に焼けたか、建物倒壊で身動きできないまま焼死したかを見極める。それにより、震災対応としてどんな家屋が必要かが分かり、次の大震災の備えになるという。
実際、監察医の「死因特定」が予防に役立ったケースがある。熱中症だ。東京都監察医務院では、熱中症の高齢者の死因特定により、「エアコン使用が少ない」「水分補給が少ない」ことを探り当て、具体的な熱中症予防法を見いだした。
日本の脆弱な監察医制度と比較して、海外の監察医制度はどうか。米国はメディカル・エグザミナ―(ME)制度が各州ごとに完璧に確立されている。イギリスはコロナ―制度として、裁判所と同じくらいの権限を持つ。
どうなる! 日本の医療