Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【小倉智昭さんのケース】膀胱がん オシッコで早期発見

小倉智昭さん(C)日刊ゲンダイ

 小倉さんは昨年末から微量の血尿に気づき、全身をくまなく検査した結果、膀胱への内視鏡検査でがんが見つかったそうです。

 血尿や排尿時の痛み、排尿回数の増加などが膀胱がんの特徴で、痛みがなく、血尿もわずかなこともありますが、小倉さんはトイレでのわずかな変化を見逃さなかったのが幸いし、早期で見つかったのでしょう。

 ステージ1なら内視鏡でがんを切除できるため膀胱を温存でき、治療期間が1週間ほどで済むのです。全摘手術が標準治療のステージ2との決定的な違いがそこ。俳優・黒沢年雄さんも08年に内視鏡手術で膀胱がんを克服しています。

■リスクは喫煙とコーチ―

 では、膀胱がんのリスクは何かというと、喫煙が一番。国立がん研究センターの研究では、吸わない人の発症リスクを1とすると、喫煙指数(箱×喫煙年数)が大きくなるほどリスクが増加する傾向で、50以上は2・2倍に上ります。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。