Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【小倉智昭さんのケース】膀胱がん オシッコで早期発見

小倉智昭さん(C)日刊ゲンダイ

 たとえ禁煙しても、やめてから10年未満では1.8倍ですから、リスクはあまり下がりません。小倉さんは、03年に禁煙するまで毎日3箱吸っていたようですから、過去の喫煙と膀胱がん発症との関連は否定できないでしょう。

 もう一つ見逃せないリスクが、コーヒー。たばこを吸わない人の場合、ほとんどコーヒーを飲まない人の発症リスクを1とすると、毎日1杯以上飲む人は2.2倍。

 膀胱がんを予防するには、たばこを吸わないこと。吸っている人はなるべく早く禁煙し、コーヒーもなるべく控える。そうした上で、1年に1回は健康診断で尿検査を受け、血尿の有無をチェックするのです。

 実は、ステージ2でも膀胱を温存できる可能性があります。文太さんは、膀胱に直接抗がん剤を注入する動注化学療法と放射線治療を組み合わせて膀胱を温存。14年に亡くなるまで7年間、元気に生活されました。ステージが進んでも膀胱を温存できる可能性はありますが、早期発見に越したことはありません。尿検査は必須です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。