赤血球などの成分バランスを示す「MCV」は、一般的には問題視されていませんが、とても重要な内容を教えてくれます。
MCVは赤血球1個が持つ平均的な容積のことで、数値を見れば自分の赤血球が「大」「小」「ちょうどよい」のどれなのかが分かります。それぞれ「大球性」「小球性」「正球性」といいます。
赤血球は酸素を体の末端まで運ぶ働きをします。小さすぎると運べる酸素量が少なく、末端まで届きません。大きすぎても血管をうまく通れず末端まで届きません。どちらも貧血、冷え、しびれの原因に。高齢者では神経障害や認知機能への悪影響も引き起こします。
「正球性」の値は検査機関で異なり、だいたい80~99fl(フエムトリットル)を基準としています。これでは範囲がちょっと広すぎるので、私は90~98を基準にし、90より低ければ小球性、98より高ければ大球性と考え、食生活を中心としたアドバイスをします。
小球性であれば消化管の出血や子宮筋腫など何らかの疾患がないことを確認した上で、牛・豚のレバーや赤身肉の摂取を勧めます。
大球性であれば、「菜食中心の食事」「ピロリ菌感染や胃が弱い」「過剰な飲酒」に該当しないか? 大球性の根本原因はビタミンB12と葉酸の不足で、主にこれら3つと関係していることが多いのです。
小球性と同様に、牛・豚のレバーや赤身肉の摂取を勧め、さらに、ビタミン12や葉酸が豊富な魚介類、牛・豚・鳥肉、海藻類、納豆、モロヘイヤなどを取ってもらいます。
80~99を基準値としている場合は「異常なし」となっているかもしれません。しかし、冷え、しびれなどの不定愁訴があれば、「90~98」で見た時は果たしてどうなのか? 一度確認してください。
本当は危ない“正常値”を見逃すな