介護を助ける“切り札”はコレだ

優しい言葉と紙パンツの選び方で排泄ケアの負担は変わる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 内閣府が調査(2013年)した高齢者介護で苦労した順位は、トップが「排泄」(62.5%)で、以下「入浴」(58.3%)、「食事」(49.1%)である。

 とくに、“大人の赤ちゃん”の「排泄」は量が多く、臭いも半端ではない。

 大手オムツメーカー「ユニ・チャーム」(東京事務所=東京都港区)の調査によると、大人のオムツ交換は1日平均6.6回。全国の大人オムツ市場は、3年前から子ども用を上回り、約1600億円になった。

 ほぼ寝たきりの高齢者はもとより、寝室からトイレまで、どうにか自立で歩ける要介護2、あるいは手助けが必要な要介護3といった高齢者でも、「排泄ケア」は欠かせない。介護福祉士等を養成している「東京国際福祉専門学校」(東京都新宿区)の斎藤千秋介護福祉科主任が言う。

「よく問題になるのが、部屋や廊下で排泄してしまったとき、『ワァ!』といった大きな声を出してみたり、また、『臭い!』『どうして早く知らせないの!』などと声を荒らげて怒る行為です。これは何の意味もありません。むしろ、高齢者を萎縮させ、さらに人間の尊厳や人格を傷つけてしまうだけなのです」

 では、どうすればいいのか。斎藤氏自らも親を介護した経験を持つ。

「排泄ケアで大切なのは、まずは言葉です。もし、寝室とかズボンの中といったトイレ以外で排泄をしたら、『気持ち悪かったでしょう?』『気がつかなくてごめんなさいね』と、優しい言葉をかけながら着替えさせてあげることです。それだけでも排泄ケアの負担は軽くなる。相手はいわば大きな赤ちゃんです。やがて介護する自身も必ずそうなります。そう考えれば優しい言葉をかけることは何でもないでしょう」

 注意深く観察していると、体をもじもじさせたり、顔を歪めるなどの「そぶり」で、排泄を事前にキャッチできるようにもなるという。そうなれば、排泄ケアはさらに楽になる。

 排泄ケアを楽にするには「紙パンツ」の選び方も重要になる。3月16日から3日間、「東京ビッグサイト」(東京都江東区)で開催された「CareTEX2016」に参加し、米国、カナダ、中国、台湾、韓国等に日本の「紙パンツ」を輸出している「㈱ジェーイーピ」(東京都新宿区)の早田明社長が言う。

「介護度に合わせて紙パンツは替えましょう。介護度が歩き回れる程度なのか、寝たきりであるほど重度なのかで介護される側が心地良く感じる紙パンツは違います。価格はもちろんのこと、使用は昼用か夜用か。ほかにも、被介護者の体格はどうかなどを考慮して選択することです」