不快指数もメンタルに影響 「梅雨うつ」は早めに徹底予防

天候、気温、湿気といった環境の変化がメンタルの不調に大きく関係
天候、気温、湿気といった環境の変化がメンタルの不調に大きく関係(C)日刊ゲンダイ

 すでに梅雨入りした沖縄に続き、来週には関東も梅雨に突入するのではないかとみられている。うっとうしい季節になると、気分もすぐれなくなり、うつ症状が悪化しやすくなる。対策法を知っておきたい。

■寒暖差がメンタルの不調を招く

 梅雨の時季になると、雨が続いたり、急に晴れ間がのぞいたりして気候が不安定になる。蒸し暑い日もあれば、肌寒い日もある。こうした天候、気温、気圧、湿気といった環境の変化が、メンタルの不調に大きく関係している。

 約20社の企業の嘱託産業医として、ビジネスマンのメンタル相談に乗っている奥田弘美氏(精神科医)が言う。

「気圧の変動や寒暖差が大きくなると、自律神経に大きな負担がかかります。気温が5度変わると、体は体温や血圧を一定に保とうとして、交感神経と副交感神経を頻繁に切り替えます。それだけ自律神経の負担も大きくなり、精神的な不調を招いてしまうのです」

 雨や曇り空が続いて日照時間が少なくなることも、うつ症状を招きやすくなる。

「気持ちを明るくしたり、やる気を高めたりする作用がある神経伝達物質『セロトニン』は、日光を浴びることで生成されます。セロトニンが不足すると、気分が落ち込んだり、うつ症状が表れやすくなったりします。また、夜になるとセロトニンをもとに、睡眠ホルモンである『メラトニン』が作られます。セロトニン不足は睡眠不足にもつながるため、うつ症状の原因になるのです」

 一年で最も多くメンタル不調を訴える患者が増えるのは、3~5月の春の季節だという。気候の急激な変化と、職場などの環境の変化によって、強いストレスを受けるからだ。

 そうしたさまざまな変化を乗り越え、やっと精神的な疲労が回復して一段落ついたタイミングで、今度は環境の不快指数がアップして“梅雨うつ”に見舞われる。悪化する前にしっかり対策を講じておきたい。

■自律神経と睡眠を整える

「高温多湿の環境は、それだけでストレスや疲労が蓄積されます。産業医の立場でオフィスの環境をチェックする時は、湿度を40~60%程度に保つよう指導しています。エアコンのドライモードをうまく使って、快適に感じる湿度をキープするようにしてください」

 うつ症状に直結する睡眠リズムを整えることも大切だ。梅雨の時季は夜遅くまで仕事をしたり、飲み歩いて暴飲暴食をしたり、寝る直前までスマホやパソコンをいじるのは避けたほうがいい。

 また、朝起きて晴れていたらすぐに窓際に行ったりして、日中も晴れ間を逃さずに日光を浴びることを心がける。セロトニンをしっかり分泌させるためだ。

「蒸し暑さなどの不快感でイライラした時は、目をつぶりながら深呼吸を10回程度繰り返すのもオススメです。人間は目から入ってくる情報が一番多いので、まずはそれを遮断し、おなかを膨らませるような腹式呼吸を意識して深呼吸をすることで、自律神経を整えるのです。これなら、オフィス、自宅、通勤電車の中などで気軽に実践できます」

 メンタル不調は、兆候が表れてから対策を講じても遅かったり、いたずらに長引かせてしまったりするケースもある。とりわけ梅雨になると頭痛がしたり、食欲がなくなったりした経験がある人は、自分は蒸し暑さに弱いタイプだと自覚して、本格的な梅雨入りの前から生活環境を整えておくのが賢明だ。

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