Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【早期がん】末期とはこんなに違う医療費と生存率

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 さらに従業員の生存率は、早期が99%で、末期が15%。84ポイントもの開きがあったのです。企業にとっても、がんを早期発見するメリットはかくも大きい。

 小倉さんはわずかな血尿に気づき、精密検査を受けたそうですが、一般に早期がんは自覚症状が乏しい。症状を頼りにすると、発見が遅れやすいので、自治体のがん検診や企業の健康診断をうまく活用しながら、定期的な検査を受けるのが無難です。

 特に大腸がん、子宮頚がん、乳がんは、検診の有効性が国際的に証明されている“検診向きのがん”。受診しないのは損です。これに加え、肺がんと胃がんの検診も1年に1回、受けておくのが安心です。

 これら5つのがんは検診によって、死亡率が下がることが分かっています。小倉さんのケースを教訓に、検診を受けていない方は、ぜひ受けて下さい。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。