“様子見”で死に至るケースも 「脂肪肝」治療の誤解と対策

MRIで脂肪肝の状態が分かる(左=横浜市立大学医学部の今城健人医師)/(提供写真)

【MRIの結果で治療計画を立てるのがベター】

 前述の「深刻度」は、生検で調べる。しかし、問題点がいくつかある。

「まず、入院が必要。次に出血などの合併症の恐れがあります。さらに、生検で見る肝臓の組織は肝臓全体の5万分の1ほどなので、『本当の状態』が分かりづらいのです」

 肝臓の左右の組織を取って生検した場合、それぞれの状態(脂肪肝がどの程度進行しているか)が一致するのは5割ほどとの報告もある。

 今城医師らは最近、「NASHの状態をMRIで検査できる」という研究結果を発表し、高い評価を受けた。生検で指摘されていた問題点はクリア。生検では見えてこない「肝臓全体がどれくらい硬くなっているか(進行しているか)」が一目瞭然なのもポイントだ。

「肝臓は均一に硬くなっていくといわれてきましたが、MRIで硬い場所とそうでない場所があることも実証しました。今後はより詳細な重症度の分類に役立てられるでしょう」

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