健康は住まいがつくる

塩化ビニール壁紙 海外では生殖異常をきたす恐れで廃絶も

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「ビニールクロスは湿気を吸ったり出したり、呼吸をしないので結露しやすく、冬場は暖房でカビが発生します。そのカビの胞子が室内に漂い、喘息やアレルギーの原因になります。しかし、それよりも私が問題視しているのは、多くのビニールクロスには、可塑剤(=加工しやすくするための添加物質)としてフタル酸エステル類のジオクチルフタレート(DOP)が含まれていることです。この有害物質は生殖に異常をきたす環境ホルモンとして知られていて、動物実験では発がん性も報告されています」

 鈴木氏が懸念するのは、室内で揮発したDOPを吸いながら生活する住人の健康への影響だ。欧州ではDOPの使用や塩化ビニール製玩具の廃絶を打ち出している。一方、日本では、環境省が2003年6月に9種類の可塑剤について、「内分泌かく乱作用は認められない(=環境ホルモンではない)」とする研究結果を発表している。

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