本当は危ない“正常値”を見逃すな

その後の対処法が明瞭 糖尿病治療前に5時間糖負荷試験を

血糖値測定
血糖値測定(C)日刊ゲンダイ

「血糖値やHbA1c(2~3カ月の血糖コントロールの平均を示す数値)が基準値より高い。2型糖尿病」と診断され、薬物治療を勧められたら、まずは食後5時間の糖負荷試験を希望してください。

 糖尿病の検査として義務づけられていないため、患者自ら申し出ないと大抵は受けられません。すべての医師が行っているわけではありませんが、食後5時間の糖負荷試験の重要性を認識している医師もいるので、ぜひ一度聞いてみてください。残念ながら保険適用ではありません。

 しかし、この検査によって、「いま本当に薬を使うべきか」「食事改善だけで対処可能か」が分かります。通常は「食後2時間」までチェックしますが、それだけでは不十分なのです。

 糖尿病の治療は、近年、比較的早い段階で経口血糖降下薬とインスリン療法を開始するケースが増えています。一方、必要でない段階で薬物治療を始めたために、血糖が下がりすぎて脳の活動が低下し、うつ症状を呈する人も出てきています。

 うつ病の相談で私のところにいらした方にも、調べてみると原因は低血糖で、それを引き起こしているのが糖尿病の薬物治療というケースが少なくありません。

 食後5時間の糖負荷試験では、30分置きに血糖値の変化を見ます。4時間以内に血糖値が50(㎎/dl)まで下がる方は、徹底した食生活改善で薬に頼らなくても血糖をコントロールできる可能性が高いのです。

 具体的には、ご飯、パン、麺類などの糖質の摂取を減らし、野菜や海藻、きのこ類で食物繊維を多めにとる。卵や肉の赤身など脂肪の少ない肉を意識して食べてタンパク質を積極的に摂取し、運動で内臓脂肪を燃やして筋肉量をアップさせます。

 これを2カ月間試してください。血糖値、HbA1cが改善していればOK。残念ながら数値が下がらなければ、その段階で改めて薬物治療を検討しても遅くないでしょう。

佐藤智春

佐藤智春

スタイリストとして活躍していた32歳の時、働き過ぎで体調を崩しダウン。「分子整合栄養医学」に出会い、人体と栄養の関係を学び、実践を重ねながら健康を取し、血液栄養診断士の資格を取得。現在はクライアントの血液データから栄養を厳密に把握し、食と医療、ライフスタイルを具体的に提案。著書に「卵を食べれば全部よくなる」「男は食事で出世させなさい」「身長を伸ばす7つの法則」など。