このような立場からいえば、若年者を自殺させない最良の方法は、「人生には別の道もある」と伝えることだと思います。かつて、ニーチェは「自殺を思うことは強い慰謝剤である。これによって数々の悪夜が楽に過ごされる」(「善悪の彼岸」)と言いました。
ここでニーチェは「自殺の勧め」を行っているわけではなく、むしろ、“空想の世界で自殺を考えてみれば、現実の世界を生きることが楽になる”と述べたにすぎません。自殺は実際に敢行しなくても、空想しさえすれば楽になるといったのです。
しかし、私は、空想の世界だとしても、何も自殺まで考える必要はないと思っています。むしろ、現実の世界で「他にも道がある」と考えればいいのです。
■学校は命と引き換えに行くほどの場所じゃない
たとえば、不登校の生徒がいるとします。この生徒に最初に話すことは、「不登校で死ぬことは絶対にない」ということです。学校なんか行かなくたって死にはしません。もちろん、高校はともかく、中学は義務教育ですから行ったほうがいい。でも、行けないからといって、学校なんか命と引き換えに行くほどのところではありません。
薬に頼らないこころの健康法Q&A