医療数字のカラクリ

夢の薬「オプジーボ」のホントの効果とは?

 従来の抗がん剤のようにがんに直接働きかけるのではなく、患者さんの免疫に働きかける「ニボルマブ」(オプジーボ)という新しい抗がん剤が話題になっています。抗がん剤治療を変える夢の薬などという人もいます。今回はその効果についての論文を紹介しましょう。

 90%以上がステージⅣという転移のある進行肺がんの患者を対象に、ニボルマブの効果を検討しています。

 標準薬ドセタキセル(タキソテール)を比較対照とし、ランダム化比較試験で、偽薬を使ってはいないものの生存期間を評価しているという質の高い研究です。

 生存期間での比較であることを考えると、偽薬を使っていないことは問題ではないと思われます。どちらの治療をしているかがわかっているとしても、生き死にの判断に影響はないからです。

 結果を見てみましょう。平均の生存期間はドセタキセル群で9.4カ月、ニボルマブ群では12.2カ月と、後者で長いことが示されました。「なんだ3カ月か」と思われるかもしれません。一般的な感覚で「効果がある」というのは、新しい薬では、進行がんも治ってしまって大部分が5年以上生きるというような状況でしょうが、残念ながらそのような効果は示されませんでした。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。