介護を助ける“切り札”はコレだ

「宅食サービス」 事前申請で緊急時に連絡をくれる業者も

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 東京・板橋区内の集合住宅に一人で住む古澤義枝さん(仮名=82)は、年齢とともに手足が不自由になり、買い物や1日3度の食事作りもおっくうになっている。

 バスで20分離れた場所に50代になる長女が住んでおり、3年ほど前までは毎夕、母親を訪ねてきて、1日3食分の食事を作ってくれていた。

 ところが、専業主婦だった長女は、家庭の事情でアルバイト店員の仕事を始めたことで、足が遠のいてしまったという。

「母はカレーライスを1度に3日分ぐらい作り、1日3食の食事をカレーで済ませていました。あまりにも可哀想で、今は『配食サービス』をお願いしています」(長女)

 創立5年の「㈱シルバーライフ」(本社=東京・新宿)は現在、全国に約500店舗のチェーンを展開。東京・板橋区内などは全配食サービスが可能だという。

 金額は1食168円~で、前日に電話連絡して、1日2食、3食でもOK。

「おかずだけ」とか、「ご飯セット」「おかゆ」も選択できる。

 弁当は直接、高齢者に届けるため、事前に申し込んでおけば緊急時に緊急連絡先に連絡してくれる。弁当の注文がない日でも、高齢者の自宅を訪問する「安否確認のみ」も有料で行っているという。

「現在、高齢者向けでは老人ホームなどを主に食材配達をしていますが、今後は個人宅にも力を入れたいですね」

 こう語るのは、食材配達では130年の歴史を有する老舗の「タイヘイ㈱」(東京・江戸川)業務部・業務第1課の漆戸英友氏だ。

 同社でもすでに入会金、年会費無料で、高齢者や、持病(糖尿病、高血圧など)を抱える人向けに、レシピ付きの食材配達を全国展開している。

 たとえば「とくとくセット」(6日間=月~土曜の夕、2人用、4320円)などがあり、支払いは代引き決済かコンビニ支払いで可能だ。

 介護の基本はできるだけ省力すること。食事は毎日のことだけに、宅配サービスを利用する方が老親が喜ぶこともある。