どうなる! 日本の医療

“団塊の世代”に備え 高齢者の医療費負担増プランが進行中

国は「医療費を抑えたい」のがホンネ(C)日刊ゲンダイ

 今年4月、自民党内に発足した「2020年以降の経済財政構想小委員会」が「65歳からの高齢者扱いを見直そう」と提言した。「今は65歳以上でも、すこぶる元気な世代も増えている。日本の生産年齢は20歳から65歳だが、その枠をさらに拡大してはどうか」というわけだ。

 この提言を素直に読めば「働ける高齢者はもっと積極的に働いてもらい、高齢者雇用も促進しよう」ということになるが、別の思惑も透けて見える。NPO法人医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が言う。

「狙いは高騰する日本の医療費対策でしょう。いま、65歳以上の高齢者の医療費負担の割合は1割から3割で、所得と年齢によって分かれています。今後は、その負担をさらに増やし、医療費を抑えたいのでしょう」

 日本の総医療費40兆円超のうち、65歳から74歳までの患者に使われる費用はおよそ7兆円。それでいて、70歳までの医療費の自己負担比率は3割で、2014年3月31日までに70歳に到達した人は1割負担、それ以降に70歳に到達した人は2割負担となっている。現役並みの収入のある70歳から74歳は3割負担だ。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。