どうなる! 日本の医療

“団塊の世代”に備え 高齢者の医療費負担増プランが進行中

国は「医療費を抑えたい」のがホンネ(C)日刊ゲンダイ

 今回の「65歳以上は高齢者扱いの見直し」は、団塊の世代が高齢者扱いされ、その医療費が跳ね上がる前に高齢者の医療費自己負担増のための布石とも考えられるのだ。前出の上理事長が言う。

「医療費が増大していると言いますが、もっと工夫すれば医療費は抑えられるはずです。例えば薬です。ネットで風邪薬などは手軽に販売を可能にして業者に競争をさせたりすれば、医薬品はもっと安くなる。それができないのは厚労省の役人の権限が大きすぎ、総量規制になっているからです。まずそこにメスを入れれば、医療費はある程度抑えられるはず。高齢者の医療費負担はその後に考えればいいのです」

 そもそも、今回の「経済財政構想小委員会」は、参院選前、高齢な低所得者に3万円を配布する案に対し、党内若手から「若い人にもアピールできる提言を」ということから発足した。そう考えれば、「65歳からの高齢者扱い見直し」は、その場しのぎのプランで実現性は薄いかもしれない。

 しかし、ひょんなことから実現すれば、カネのない高齢者はますます医療を受けられなくなる。低所得の高齢者は「3万円もらえる」と喜んでいる場合ではないのだ。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。