Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【注目の裁判】 つらい痛みは我慢しないほうが延命する

術後の痛みも積極的にケア(C)日刊ゲンダイ

 がん患者さんにとって見逃せない裁判をご存じでしょうか。大麻を不法に所持したとして昨年12月、大麻取締法違反で警視庁に逮捕、起訴された末期肝臓がんの50代男性のケースです。

 男性は2014年10月、医師に治療法がなく、余命半年~1年を宣告され、わらにもすがる思いでネットを検索。大麻ががんの病状に有効かもしれないことを知り、「個人的に医療目的で大麻を使うにはどうすればいいか」と厚労省や法務省などに相談したが、断られたため、自宅で大麻を栽培して使用したといいます。

 その結果、痛みが和らぎ、食欲がアップ。うつ状態が改善し、腫瘍マーカーは使用前の20分の1に低下。がんの諸症状が改善する兆しが見られたことから、「大麻の使用は、憲法が保障する生存権の行使」として無罪を主張し、現在、東京地裁で係争中です。

 ここで大麻の是非を議論するわけではありません。注目は、この男性ががんの痛みを取ろうとした行動です。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。