「入浴には4つの効果があります。(1)体を温めて血管を広げ、血流を増やす温熱効果。その結果、新陳代謝のアップ、筋肉の張りが解消される(2)浮力によるリラックス効果(3)水圧による下半身の血流改善効果。足元にたまった血液を心臓に戻すことができる(4)毛穴が開くことによる皮膚の清浄効果――です。しかし、みぞおちの下までつかる半身浴は入浴時間が長くなるだけで全身浴の半分の効果しか得られません」
それでも「半身浴で長くお風呂につかる方がカロリー消費が大きく、やせられる」と考えている人もいるはずだ。しかし、これも思い込みに過ぎない。名古屋大学医学部の研究者らがまとめた研究論文「全身浴、半身浴、シャワー浴がエネルギー消費量に及ぼす影響」によると、40度のお湯で「全身浴10分」と「半身浴20分」では消費カロリーに変わりがなかった。
「半身浴の方がたくさん汗をかくというのも正しくありません。前述の研究でも汗の量に差はありませんでした。半身浴で長くお湯につかる方が肌にうるおいが出る、というのも間違いです。長くお湯につかると、皮膚表面の皮脂やセラミドと呼ばれる皮膚の保湿成分が流出し、皮膚の表面を覆う角質が水分を保つことができなくなります。やがて肌の内部の水分まで失い、逆に乾燥肌になってしまうのです」