また、新専門医は集中しないように、地域ごとに各領域で配置できる数が決められる、との懸念がある。これが本当なら、若手医師は居住地によっては必ずしも自分が希望する専門医資格を得られるとは限らないかもしれない。
新制度は若手の女医も苦しめることになる。内科専門医資格を得ようとすると、初期2年、後期3年の研修を終えてから、基本領域の新内科専門医資格を取得。さらに3年かけて、サブスペシャルティー領域の新内科指導医資格を取ることになる。
つまり、循環器や呼吸器などの専門研修を受けるのが早くても29歳。出産・育児の時期と重なり、今後、必要とされる内科系の専門医志願者が激減する恐れがあるのだ。
これに追い打ちをかけるのが、急速に進むIT技術だ。すでに「医療相談」という形で、パソコンやスマホによる医師の“遠隔診療”がスタートしている。ベテラン医師の中には、「これで私たちが医師として働く期間は長くなった。しかも、これまで病院から半径数キロ以内の患者さんだけだったが、地方の患者さんも診られる」と、地方の患者の掘り起こしに意欲を燃やしている人もいる。しかも、腕のいい都会の医師ほど「自由診療にして、お金に余裕のある気の合う患者さんだけを対象に、数は少なくとも丁寧な医療を心がけたい」という。若手医師がそのあおりを受けるのは確実。日本の医療はさらなる混乱に陥ることになりそうだ。
どうなる! 日本の医療