健康は住まいがつくる

予病住宅<2> 日本人は“電磁波のカゴ”の中で暮らしている

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 住環境への影響で、シックハウス症候群と並んで懸念する人が多いのが電磁波だ。国際的にも「送電線の近くでは白血病が増えるのでは」と心配する声が多く、長年議論が続けられてきた。

 そのため、日本でも国際ガイドラインに合わせ、送電線などの電力設備や携帯電話基地局、携帯電話端末などの電磁波の暴露レベルに厳しい規制を設けている。

 しかし、見落とされている場所がある。住宅内で発生する電磁波だ。健康を考えた「予病住宅」を販売する「ファミリア建設」(東京・東村山)の菊地英豊社長が言う。

「実は、日本人は欧米と比べても電磁波の強い住環境の中で生活をしているのです。発生源は、室内の内壁の中に張り巡らされている屋内配線や電気コンセント。“電磁波のカゴ”の中にいるようなものです」

 電磁波とは、「電場」と「磁場」という異なった周波数が交互に発生している電気の流れのこと。屋内配線は常に電圧がかかっているので、ブレーカーを落とさない限り電場が発生する。磁場は家電製品をコンセントに差し込み、スイッチをオンにすると発生する。

 この電場と磁場の大きさが、日本の住宅では欧米の住宅よりも強くなるというのだ。

「欧米の電圧は200ボルト(V)ですが、日本は100Vです。ですから同じ消費電力の家電製品を使う場合、日本では倍のアンペア(電流)が必要になります。磁場はアンペアに比例するので、日本の方が強くなる。一方で、電場は電圧に比例するので日本の方が弱い。ところが、欧米は3口コンセントで、1口はアースを取っているので、電場の発生が日本より抑えられているのです」

 送電線や家電製品などから発生する電磁波(低周波電磁界)の健康影響について、WHOでは「全体として、小児白血病に関連する証拠は因果関係とみなせるほど強いものではない」との見解を示し、他の病気についても「小児白血病についての証拠よりさらに弱い」と結論付けている。

 しかし、国内の医師の中には、日本の電気コンセントからスウェーデンの許容基準の7倍もの電磁波が出ていることを指摘し、アレルギー疾患、がん、脳腫瘍など多くの病気に何らかの電磁波障害が関係しているとみているものもいる。

「対策としては、室内の電気コンセントのすべてにアースをつけることです。さらに予病住宅では、天井裏など配線が重なり強い電場が発生するような場所には、電磁波遮断シートを使ってカバーしています」

 室内の電磁波対策まで気を配る家主や建築業者はそうはいない。過敏になりすぎるのも考えものだが、気になるようならリフォームも可能だ。