薬に頼らないこころの健康法Q&A

英語の成績不振に潜む ディスレクシア(読字障害)の克服法

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 こういった生徒にとって、英語は困難を伴います。英語は、日本語のひらがな・カタカナと比べて、書かれた文字と発音との対応関係が複雑です。したがって、そもそも英語を母国語とする人の間でも、ディスレクシアを抱えている人が1、2割もいるといわれています。その一方で、書字と発音の対応関係が簡単なスペイン語では少ないともいわれています。

 中学に入って英語が読めない生徒は、国語についても「朗読が苦手」であり、「漢字が読めない」場合が多い。したがって、小学生時代に気づかれなかったディスレクシアが、中学に入って英語という新科目に接することで露呈すると考えるべきと思われます。

 英語圏には、ディスレクシアの克服法として、英語のつづりと発音の対応関係を教える(フォニックス法)べきか、文脈に沿って単語を意味とつづりの双方から理解させる(ホール・ランゲージ法)べきか、という議論があります。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。