なりやすい病気は血液型でわかる

何万年もの“闘い”の結果 中南米のほぼ100%がО型の理由

 ABO血液型と感染症の関係も、次々に明らかになっています。とりわけ有名なのがマラリアです。

 マラリアに強い血液型はO型です。血液型とマラリアの研究は1980年代から世界中で行われており、ほぼすべての研究で「O型が非O型よりも有利である」ことが示されています。マラリア感染に対する抵抗力が強いうえに、発病しても悪化しにくいのです。アフリカやインドの研究で、非O型はO型と比べて1.5倍から2倍以上も感染しやすく、悪化もしやすいことが分かっています。

 この病気は、マラリア原虫と呼ばれる単細胞の病原体が、人体に寄生して引き起こします。原虫はまず肝臓にすみつき、細胞分裂で仲間を大量に増やします。すると、増えた分が血液中に流れ出し、赤血球に潜り込んで、そこでまた増殖するのです。そして数日以内に赤血球を破壊して外に飛び出し、新たな赤血球に寄生するというサイクルを繰り返します。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。