市販薬か要治療か? あなたの「頭痛」見極めのポイント

我慢は禁物
我慢は禁物(C)日刊ゲンダイ

 日本の頭痛患者は4000万人といわれている。経済的損失も大きく、「年間3000億円」と試算する報告もある。適切な頭痛対策で押さえておくべきことは何か?

 指南してくれたのは、日本頭痛協会名誉代表理事で、40年以上頭痛患者を診ている「間中病院」(神奈川県小田原市)の間中信也院長。慢性的な頭痛の対策で最も重要なのは、「我慢しないこと」と指摘する。

「耐え難い状態になる前に薬を飲む。痛みがひどくなってからでは、薬も効きにくい」

 慢性頭痛には、市販薬でOKなものと、専門医の治療が必要なものがある。それを見極める方法は、「頭痛薬が必要になる回数」だという。

「市販の頭痛薬の使用は月10回、月10日(1日に何回か服用する場合でも月10日以内)までであれば問題ありません。これを超えるなら、頭痛の専門医を受診してください」

 頭痛の程度も、見極めるポイントになる。

「顔の様子」で5段階に分けると、(1)笑顔(2)ちょっと眉をしかめる(3)かなり眉をしかめて口がひん曲がる(4)眉間にしわをよせて歯をくいしばる(5)耐え難く冷や汗が出る――のうち、(3)かなり眉をしかめて口がひん曲がる以上の痛みなら専門医へ。(5)耐え難く冷や汗が出るであれば、専門医かどうかを問わず、救急車を呼ぶ。

■医師に伝えるべきは6項目

 専門医を受診した場合、何を伝えれば適切な頭痛治療を受けられるのか?

 間中院長が挙げるのは次の6項目だ。(1)どんな痛みか(2)どこが痛いか(3)いつ頃から始まった頭痛か(4)頭痛の頻度(毎日~月に何回)(5)どのような時に痛くなり、どのようにすれば楽になるか⑥服用している薬。

 (1)は「1分以内に最大の痛みになる」「ドクンドクン、ズキンズキン」「ズキッ、ズッキーン」「ギューと重苦しい」などを伝える。

「医者から質問をしても、患者さんは『いきなり聞かれても分からない』と戸惑う。6つの項目は、事前にメモするなどして答えられるようにしておくべきです」

 慢性頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3種類がある。このうち人数が多く、市販薬で対処しきれず日常生活に支障が出るほど症状の程度が強く、頻回なのが片頭痛。間中院長によれば、慢性頭痛患者4000万人中840万人は片頭痛患者で、そのうち74%は頭痛による生活支障度が高い。一方、片頭痛患者の70%は医療機関を受診したことがないという。

「これらの患者さんが自己判断で市販薬を多用し、引き起こされるのが、『薬剤の使用過多による頭痛(かつての薬物乱用頭痛)』です。脳の痛み中枢が敏感になり、わずかな刺激も頭痛として捉えてしまいます」

 前述のように「月10回、月10日まで」なら、薬剤の使用過多による頭痛のリスクは、ほぼないと考えていい。それ以上ならリスクが高くなる。

 さらに、自己判断の悪影響は、脳卒中や脳腫瘍など「二次性頭痛」と呼ばれる重大疾患のサインの見落としにもつながる。だからこそ、専門医の手を借りなければならない頭痛の場合は、6つの項目をきちんと医師に伝えなくてはならない。

「月の半分以上頭痛があるなら、『頭痛ダイアリー』をつけることも重要です。これらの頭痛は片頭痛と緊張型頭痛が交じっている。痛みの様子、持続期間、起こる状況など頭痛に関する内容を記録する頭痛ダイアリーが、診断と治療に役立ちます」

 頭痛のタイプを知れば、予防薬、治療薬、頭痛を起こしにくくする生活など、さまざまな方法で頭痛のツラさをゼロにすることが十分可能だ。

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