独白 愉快な“病人”たち

作家・村野正好さん 乳がんで「なぜ男性が?」の重圧感じ

村野正好さんにもワイドショー出演していた(C)日刊ゲンダイ

 そこで、女性ならよくご存じのマンモグラフィーや超音波診断のエコー検査を受けたのです。

 もう、待合室は針のムシロ。「何で男性が?」といわんばかりの見えない重圧を勝手に感じつつ、なぜか「すみません」という気持ちでいっぱいでした(笑い)。マンモグラフィー検査では、検査技師が男性だったのですが、それはそれで互いに照れ合うという妙な時間が流れました。

 その後、組織の一部を取る病理検査も受けた結果、ハッキリしたのは乳がんか、もしくはアポクリン腺がんかもしれないということ。男性乳がんも珍しいですが、アポクリン腺がんはさらに珍しく、5年生存者はかなり少ないそうです。ちなみに、乳がんは2つの乳房だけではなく、動物の名残りというべきか乳腺が腹部にもあるため、腹部の腫瘍でも乳がんだったりするのです。

 どうであれ、青天の霹靂。ステージⅢの終わりかⅣと言われた時点で、余命を告げられたも同然でした。でもその傍らで、「乳がん」という主治医の言葉を聞いて、なぜか20年ほど前にちょっとした遊び心から、自分の胸にチョコレートケーキを塗られたことを思い出しました。「乳がんになっちゃうかもー!」なんてふざけて言った自分の言葉がよみがえったのです(笑い)。

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