独白 愉快な“病人”たち

作家・村野正好さん 乳がんで「なぜ男性が?」の重圧感じ

村野正好さんにもワイドショー出演していた(C)日刊ゲンダイ

 思えば、人生にリスクはつきもの。命の危険を伴うようなスポーツや遊びを楽しんできたので「乳がんも仕方ないか」と思いましたよ。世間はとかくリスクを避けることばかり考えますけど、私はベネフィット(成果)を確実に得るためには、リスクはテークするものだと考えています。がんは私に課せられたリスクのひとつ。まあ、男性にしては珍しすぎる病気ですが……。

 右胸に太ももから切り取った皮膚を貼りつけてはや6年目になりました。実は昨年、手術から5年経過のいわば“卒業検査”で左胸に腫瘍が見つかり、9月から女性ホルモンの投与が始まりました。腫瘍が大きくならないように抑える乳がん治療だそうです。転移は怖いと思っていましたが、なってみると当たり前のことのよう。「ついに来たな」くらいな気持ちです。

 病気になって飽きっぽかった性格が粘り強くなったし、より寛容になったと思います。分かりやすい例でいえば、女性に対する個人的見解ですかね。

4 / 5 ページ