多くの人が誤解…糖質制限で治る糖尿病、治らない糖尿病

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「同じ数値でも、急激に血糖値が上がって落ち着く人もいれば、上がった状態のままの人もいる。糖尿病専門医でない医師はそれがわからないから、糖質制限でコントロールされた血糖値だけを見て“様子を見ましょう”“基準内なので大丈夫”などと言うのです。しかし、その時点で治療が必要な人もいるのです」

 実際、空腹時血糖値が90以内の正常値でも、食べると血糖値が急上昇する人はいくらでもいる。

 恐ろしいのは「(糖質制限で)血糖がコントロールされていれば、糖尿病の合併症は出ない」と思い込むこと。

 30代の田中直子さん(仮名)は「糖尿病」と診断され、糖質制限を開始。「ヘモグロビンA1c」が4.7%(正常値)だったものの、半年後に「人工透析が必要」と宣告された。

「糖尿病治療において、血糖コントロールは治療全体の1割程度に過ぎません。糖尿病は万病のもとといわれ、腎症、網膜症、神経障害といった3大合併症以外に、がん、心筋梗塞、脳卒中、骨粗鬆症、アルツハイマーなどにかかりやすいことがわかっています。糖尿病治療の目的は、糖尿病が引き起こす別の病気を防ぐこと。ところが、田中さんは腎機能の状態を示す尿アルブミン値に赤信号がともっていたのに、“血糖値が正常内なら大丈夫”と考え、取り返しのつかないことになったのです」

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