天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

大動脈弁狭窄症が急速に増えている…高齢女性に多い疾患

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 近年、「大動脈弁狭窄症」の患者さんが急速に増えています。心臓の出口にあって、逆流を防止する大動脈弁が動脈硬化などによって硬くなり、極端に開きにくくなる疾患です。血液の流れが悪くなるため、胸痛や息切れなどの症状が表れ、重症化すると突然死に至るケースもあります。

 食生活の欧米化や高齢化が進んだ影響で、動脈硬化を抱える人が増えたことにより、大動脈弁狭窄症の患者さんも増えているのです。とりわけ日本は女性が長寿で、高齢に伴って女性ホルモンの枯渇が急激に起こり、特に大動脈弁の石灰化を招く可能性が高くなります。そのため、女性に多い疾患です。 

 当院では、大動脈弁狭窄症の手術を年間80~100例ほど行っています。この数字はかつての3倍程度に当たり、病院によっては、わずか5年で症例数が2倍に増えているところもあります。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対して行う冠動脈バイパス手術は年間130例ほどですから、大動脈弁狭窄症がそれに匹敵するくらい増えているということです。

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天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。