なりやすい病気は血液型でわかる

「ノロウイルス」や「ピロリ菌」が好む血液型は何型?

A型の発症率だけが異常に高かった食中毒も
A型の発症率だけが異常に高かった食中毒も(C)日刊ゲンダイ

 ABO血液型を決めているのは、赤血球の表面に結合している「糖鎖」という物質です。ところが血液型糖鎖は赤血球だけでなく、口腔、食道、胃腸、気管、皮膚などなど、人体のさまざまな細胞表面にも存在しています。A型、B型、O型糖鎖がありますが、AB型の糖鎖はありません。AB型の人には、A型とB型の両方の糖鎖が使われています。

 人体細胞に使われている血液型糖鎖が何に役立っているかは、よくわかっていません。しかし、さまざまな食物感染や空気感染と関係していることが明らかになりつつあります。細菌やウイルスが人体に感染するためには、第一段階として、消化管や気管の表面細胞と密着する必要があります。そうでなければ人体にとどまることはできず、便や痰と一緒に排出されてしまい、感染は成立しないからです。

 そのため細菌やウイルスは、人体細胞と密着するためのさまざまな工夫を凝らしており、中には血液型糖鎖を利用する方法を採用しているものもいるのです。つまり、消化管や気管の表面を覆っている血液型糖鎖と、化学的に結合できるような仕組みを持っているのです。

 とりわけ、胃炎を引き起こす「ピロリ菌」と、下痢を起こす「ノロウイルス」で研究が進んでいます。しかも彼らには、好みの血液型があることまでわかってきています。

 たとえば、北海道で2003年に起こった集団食中毒では、A型の発症率だけが異常に高かったことが知られています。中南米で採取されたピロリ菌は、O型を強く好むことも明らかにされました。

 インフルエンザウイルスにも、血液型の好みがあるらしいことが報告されています。他にも血液型物質をターゲットにしている細菌やウイルスが見つかっており、いまでは医学のホットな話題のひとつとして、世界中で注目を集めています。

 ただし、ノロウイルスは必ずA型を好むかというと、そうではありません。どうやら「株」(遺伝的な系統)によって好みの血液型が違うようなのです。O型好きの株やB型好きの株も見つかっています。ピロリ菌やインフルエンザウイルスも同様で、株ごとに好みの血液型が異なっていることが明らかになりつつあるのです。