徹底解説 乳がんのなぜ?

若年性乳がん 家族性腫瘍なら5割の確率で子どもも発症

姉の麻耶さん(左)も心配…(C)日刊ゲンダイ

■気になる姉の休業

「家族性」とあるように兄弟や姉妹がいると、それぞれに発症するリスクがあります。私の患者さんにも、姉妹で乳がんを発症されたり、兄弟で前立腺がんになられたりするケースは珍しくありません。もし麻央さんの乳がんが家族性なら、2人のお子さんにもそれぞれ2分の1の確率で遺伝する可能性が。姉の麻耶さん(36)が休業中なのも気になります。

 進行が速く、深刻な病状ながら、「手術に向けて」治療を続けていることから推測すると、転移はないもののかなり進行したステージ3の可能性が高いと思われます。

 手術の前に抗がん剤治療をすると、腫瘍が小さくなり、手術がしやすくなりやすい。患者さんによっては、腫瘍が画像上、消えることもまれではありません。

 しかし、手術前の抗がん剤治療は1カ月1クールで6クールが一般的。麻央さんの治療が1年8カ月と長期にわたっているのは、抗がん剤が効きにくいタイプか、ひょっとすると、すでにほかの臓器に転移しているステージ4なのかもしれません。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。