「巨人の星」と同時期に、石原慎太郎は「スパルタ教育」という本を出しています。スパルタは古代ギリシャの都市で、ここでは子供は生まれてすぐ長老の元に連れていかれ、そこで「病弱・ひ弱」と判断されると川に捨てられました。そして生き残った子供たちも、7歳になったら軍隊に集められ、毎日、丸刈り、はだしで訓練させられたといわれています。
日本にも子供を一度捨てる風習がありました。これは、取子と呼ばれるもので、捨てられてもたくましく生き延びた子は強いから育てていこうというものです。
例えば、子供を便所の板の下をくぐらせてから、道に捨て、それを他の人が拾ってその人から親が子をもらい受けるといった儀式です。今でも、高齢者の中に「捨吉」や「捨蔵」など、「捨」という漢字を使った名がありますが、これは取子の名残と思われます。
大リーグボール養成ギプスも、獅子の逸話も、スパルタの教育も、取子の風習も、どれも今日の視点では児童虐待です。しかし、いずれも「子供をたくましい大人に育てる」という課題に向き合った結果でした。
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