実際、頻繁に服用していたことで日中ボーッとする時間が増え、記憶力が低下した患者さんがいらっしゃいました。ご家族の方は「認知症になったかもしれない」と心配されていましたが、薬の服用を中止し、しばらくすると元の元気な状態に戻りました。この事例では、最初は誰も胃薬の副作用を疑いませんでした。
また、胃酸を中和するタイプの胃薬=制酸剤も頻繁に使用されています。このタイプには、マグネシウムやアルミニウムが含まれていて、それらの成分が他の薬とくっつき、薬の吸収を妨げる場合があります。「抗生物質を飲むとき、胃が悪くならないように胃薬を一緒に飲む」という患者さんも多くいらっしゃいます。しかし、同時に服用すると、抗生物質の効果を妨げる危険があるのです。
胃薬は身近な薬のひとつですが、だからといって気軽に飲んではいけません。
身近な薬の落とし穴