朝は浅煎りがいい コーヒーで健康キープ「5つの鉄則」

血液サラサラ効果が
血液サラサラ効果が(C)日刊ゲンダイ

 芸能界は、がん公表やら緊急入院など病気の話題が尽きないが、サラリーマンも他人事じゃない。忙しくて運動も食事制限もできない、飲み会も断れない――人は、コーヒーを飲めばいい。

「かつては、体に悪いといわれたこともあるコーヒーですが、最新の研究により、やはり体にいいことが明らかになったんです。日常的にコーヒーを飲む習慣のある人は、肝臓がんや心臓病のリスクを下げ、動脈硬化予防にも有効など、健康効果が次々と発表されています。コーヒーはまさにクスリです」

 こう言うのは、東京薬科大学名誉教授でコーヒー研究家の岡希太郎氏だ。

 岡氏によると、コーヒー=クスリの理由は、その成分にある。(1)カフェイン(2)ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸(3)ニコチン酸類(4)NMP(N―メチルピリジニウムイオン)の4つがそれで、それぞれの主な薬理効果は、

「カフェイン」-抗炎症作用

「クロロゲン酸」-抗酸化作用で活性酸素を取り除く

「ニコチン酸類」―血管壁を保護し、血中の脂肪を減らす

「NMP」-副交感神経を刺激しリラックス効果、大腸の蠕動運動の高進などを持つ。

 中でも岡氏が注目しているのが「血液サラサラ効果」だ。

「クロロゲン酸は体に入ると肝臓で代謝されて、フェルラ酸という成分に変わります。これが血管内で血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにする作用ももたらすのです。コーヒーの香り成分のピラジン酸にも血栓をつくりにくくする作用がありますから、相乗効果で動脈硬化予防、また脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げるわけです」

 ピラジン酸とニコチン酸はインスリンの働きを高めて血糖値を安定させるアディポネクチンの血中濃度を高め、2型糖尿病のリスクを下げるという報告がされている。

 また国立がん研究センターの調査研究によると、ほぼ毎日コーヒーを飲む人は、ほとんど飲まない人と比べ、肝臓がんの発生リスクが約半分に減少することも分かっている。

「ほとんどの病気が慢性炎症によって起こります。それをコーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールが持つ抗炎症作用や抗酸化作用が抑え、病気にならない体にするのです」

 もちろん、ただコーヒーを飲めばいいというわけではない。健康効果を生む飲み方、焙煎の選び方はこうだ。

(1)どれくらい飲む?
 1日3~4杯程度が理想。体によくない成分も含まれており、6杯以上飲み続けると逆に脳卒中や心血管病のリスクが高まるという報告も。

(2)豆は何を選ぶ?
 成分の量はほとんど同じなので、何を選んでもOK。

(3)焙煎は?
「浅煎りコーヒーはポリフェノールとクロロゲン酸が豊富。抗酸化作用、食後の急激な血糖値の上昇を抑える作用などが期待できます。一方、浅煎りでは得られないニコチン酸とNMPを含むのが深煎り。気分を和らげたり血圧を下げるほか、強い抗酸化作用があり、発がん性物質の解毒にも働きます」

 専門店では煎り方度合いで8段階ある。浅煎りなら2段目の「シナモン」がクロロゲン酸の量は多い。深煎りなら6段目の「フルシティー」または7段目の「フレンチ」がニコチン酸が豊富。

(4)飲むタイミング
「朝食時には浅煎りを、夕食後にリラックス作用のある深煎りコーヒーがお勧めです。昼は好みでOKですが、浅煎りと深煎りを1対1でブレンドしたものなら4成分をすべて吸収できます。またダイエット目的なら、食前に浅煎りのライトローストからミディアムローストのコーヒーを飲めば、クロロゲン酸が糖分の吸収を遅くします」

(5)ホットかアイスか
 コーヒーの温度は、成分の効き目に影響はしない。熱い飲み物にはがんリスクの可能性があるといわれているが、コーヒーに関しては「通常提供される温度」なら問題はナシ。

 健康のため、毎日飲もう。

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