それでも、さらに数年後には再手術が必要になりますが、いまは「TAVI」(経カテーテル大動脈弁留置術)という血管内治療によって新たな生体弁を留置する方法が登場し、患者さんが若くても生体弁を勧めるケースが増えました。再び開胸して手術する負担をかけず、新しい生体弁に交換することが可能になってきているのです。
25年前にいまの治療法があれば、先ほどの男性患者さんは、今ごろTAVIで弁の交換をしているかどうかという段階なはずです。
余談ですが、ハリウッド俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー(68)は、1997年に大動脈閉鎖不全症で弁置換術を受けています。当初はロス手術が行われる予定でしたが、うまくいかなかったため術中に変更され、生体弁が使われました。こちらも、弁の交換が必要になったときはTAVIが行われるかもしれません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」