なりやすい病気は血液型でわかる

ピロリ菌の影響か O型が「消化器潰瘍」になりやすい理由

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 非O型は、O型と比べて膵臓がんや胃がんのリスクが高いのですが、逆にO型は消化器潰瘍(胃潰瘍と十二指腸潰瘍)にかかりやすいことが知られています。

 数年前、スウェーデンとデンマークの研究者たちが合同で行った大規模な疫学調査の結果が報告されました。それによれば、O型の胃潰瘍のリスクを1とすると、A型0.91、B型0.83、AB型0.77という結果でした。また十二指腸潰瘍では、同じくO型のリスクを1とすると、A型0.81、B型0.75、AB型0.85でした。つまり非O型のほうが、消化器潰瘍のリスクが低いということです。同様の結果が異なる人種・民族の研究でも報告されており、「胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、非O型のリスクはO型の0.8倍前後」というのが世界のコンセンサスになっています。

 なぜ、O型が消化器潰瘍になりやすいのかについて、ピロリ菌の感染と、遺伝子レベルの2つの方向から研究が進められています。

 ピロリ菌は胃壁に寄生して、胃炎や胃潰瘍を引き起こすことで有名です。ピロリ菌が寄生するためには、胃粘膜細胞にしっかりと密着する必要があります。そうでなければ、ピロリ菌は食物と一緒に胃から押し出され、最終的には便に混じって排泄されてしまいます。

 一方、胃粘膜細胞の表面には、血液型糖鎖が大量に存在しています。A型の人はA型糖鎖、B型はB型糖鎖といった具合です。ピロリ菌は、それらの糖鎖と結合するための仕組みを持っています。しかもどうやらO型糖鎖と、より強く結合する傾向があるらしいのです。世界的にO型が消化器潰瘍になりやすいのは、それが理由かもしれません。

 一方、最近「ゲノムワイド解析」(GWAS:Genome Wide Association Study)と呼ばれる新しい遺伝子解析方法による研究が増えてきました。人の全遺伝子の特徴を調べ上げ、病気との関係を統計学的に明らかにしようという試みです。遺伝子の特徴と消化器潰瘍の関係を調べる研究が各国で行われており、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と関係がありそうな特徴が、血液型遺伝子が存在する染色体の同じ部位にあることが分かってきたのです。

 もしかしたら、消化器潰瘍と血液型の関係が、遺伝子レベルで解明されるかもしれません。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。