糖尿病は世界的に増えている病気です。この病気は基本的には完全に治ることはありませんから、結果として高齢者の糖尿病は、今後、さらに増えることが予想されます。それでは、若い人と高齢者で糖尿病の治療は同じでいいのでしょうか?
「それではいけない」というのが最近の考え方です。
糖尿病の患者さんが血糖値を下げるために薬を使うのは、血糖が高くなることによる、「糖尿病性昏睡」(意識がなくなること)と「糖尿病の合併症」の予防のためです。
失明の原因となる網膜症や、進行すれば透析が必要になる腎症のような合併症は、確かに血糖を正常に近づけるほど予防できます。その効果は若い人の方が大きいのですが、高齢者は、予防の効果は低くなる上に、治療による低血糖などの副作用が起こりやすくなります。昏睡などの予防のためには、血糖値が200を超えないくらいにすれば十分です。
医者も知らない医学の新常識