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【難治性てんかん手術】東京都立神経病院・脳神経外科(東京都府中市)

東京都立神経病院・脳神経外科のてんかん治療部門をまとめる森野道晴部長(提供写真)

 選択的海馬扁桃体摘出術は1982年にトルコ人医師によって開発された術式で、森野部長は90年代後半に米国で習得。高度な技術が必要なので日本ではほとんど普及していないという。

 また、側頭葉てんかんでは海馬の萎縮が見られない症例(15%)もある。この場合、海馬を取ると記憶力が著しく低下する可能性がある。そのため同科では独自に開発した「海馬多切術」を行っている。海馬を摘出せずに、海馬に切り込みを入れて異常な電気信号の流れを遮断する術式で、この手術を行っている施設も国内では少ないという。

「手術の効果は、側頭葉てんかんの場合、一般的な発作消失率は平均70~75%ですが、選択的海馬扁桃体摘出術では85%です。全般てんかんに対しても病態によってさまざまな術式を行っていますが、手術の目的は症状の緩和です。全般てんかんの発作が減る緩和率は平均50%減くらいです」

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