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研究結果が続々 米国で“悪役”のコーヒーが正義の見方に?

 国民の8割以上がコーヒーを飲むアメリカですが、お茶に切り替える若者が少しずつ増えてきています。

 理由は「コーヒーの飲み過ぎは体に悪い」と考えている人が多いから。そのきっかけになったのが、1991年に「国際がん研究機関(IARC)」がコーヒーと膀胱がんの関連性を発表したことでした。IARCは、WHO(世界保健機関)の外部組織です。

 ところが近年、そのIARCは百八十度違う研究結果を発表し始めました。

 まずは、23カ国の研究者が100以上の調査結果を分析したもの。それによると、「コーヒーが特定のがんを誘発することはない」「むしろコーヒーを継続的に飲んでいる人は、心臓病や2型糖尿病、神経障害になる率が低く、子宮がん、肝臓がんにかかる確率も低い」とのことでした。

 ただし、これらは疫学的な調査結果で、「なぜ?」という医学的な裏付けはありません。

 次に、「コーヒーやティーを高温で飲み続けると、がんになるかもしれない」というもの。高温で喉の細胞が傷つけられるためではないかとのことですが、高温の基準はカ氏149度(セ氏65度)以上で、「コーヒーをそこまで高温で飲む機会はまずないから心配ない」と関係者はコメントしています。

 ニューヨーク・タイムズでは、「コーヒーの健康へのメリットがさまざまな研究で認められつつある」と解説。他の調査ではコーヒーがある種のがんを予防する可能性を示唆していること、さらに「コーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて長生きという調査結果もある」と記事で紹介しています。

 コーヒーの「悪役度」が下がったばかりでなく、近い将来「正義の味方」に躍り出る日も近いかもしれません。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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