当事者たちが明かす「医療のウラ側」

「いつもの薬をいつもの量…」に警鐘 長期処方の危険性

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 また、先輩医師から受け継いだ患者に対しては「先輩の処方を変えるのは失礼だ」と考えて、薬の種類も量もまったく変えない若手医師も多い。これでは、薬が効きすぎてしまいます。

 とくに気をつけなければならないのは75歳以上の高齢者です。人間は年を取れば取るほど腎機能が低下します。その分、薬の代謝・排泄が悪くなり、薬が長時間体内にとどまって若い人より薬が効きやすいのです。にもかかわらず、薬の量を減らすべき夏に普通通りに飲んでいたら、効きすぎて副作用が出るのは当然です。

 複数の薬を飲んでいる人は、薬同士が互いに反応してより強く副作用が出ることが知られています。東大病院老年病科に入院している患者を調べたところ、薬1種類で表れる副作用は5%ほどですが、6種類以上の薬を飲んでいる人は15%にアップすることが報告されています。

 患者さんは何でも医師任せにせず、「ずっと同じ薬で良いのでしょうか?」「ダイエットで体重を落としたのですが……」「汗をかく夏でも量を変えずに大丈夫ですか?」などと聞いてみることも大切です。

 自分の体は自分で守る。そのことを忘れてはいけません。

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