病気で苦しんでいる患者さんからしてみれば、まるで切り捨てられているように感じるかもしれませんが、それは違います。現在の保険制度が破綻してしまったら、満足な治療を受けられなくなったり、保険料の負担が増えてしまったり、結局は自分にしわ寄せが来ることになるのです。
私は、「すべての国民に一定水準以上の平等な治療を提供する」という理念を原則にしている日本の国民皆保険制度は素晴らしいと考えています。自分や家族もその恩恵を受けたから今があるし、心臓外科医として全力でこの分野での恩返しを誓ったという経緯もあります。だからこそ、制度をどうやって維持していくのかについて、医師も患者さんも真剣に考えなければなりません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」