どうなる! 日本の医療

製薬企業も大打撃 EU離脱で英国は世界から取り残される

 当然、英国系の大手製薬企業は大打撃だ。

「喘息薬などを中心に世界6位の売り上げを誇るグラクソ・スミスクライン、それに前立腺がんの抗がん剤などを販売する世界7位のアストラゼネカなどのグローバル企業が多い。こうした製薬会社は英国内の工場からEU圏内に出荷する際、多額の関税をかけられる可能性が高い。そのコストを他の薬の値段に転嫁することになるでしょう」(製薬関係者)

 今後、英国の医学レベルが低下し、創薬力が弱まるのも確実だ。

「EUは科学振興援助のため“ホライズン2020年”を計画、科学、医学、生理学、薬関係などに補助金事業を行うことを打ち出しています。そのため、少なくともEU組織、欧州研究会議(ERC)からイギリスの製薬、医学関係には多額の研究費用が配分されてきました。それが一斉に打ち切られることになるでしょう」(大学研究者)

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。