どうなる! 日本の医療

製薬企業も大打撃 EU離脱で英国は世界から取り残される

 ノーベル生理学・医学賞を受賞したマイブリット・モーセル氏とエドバルド・モーセル氏もERCの支援で研究を続けられたことが賞につながったとさえいわれている。資金の打ち切りは日本人を含めた外国人研究者の英国留学を中断させ、ひいては英国の創薬力を低下させることになる。

「製薬関係者の間では英国は新薬市場にふさわしいのか、が問題になっています。いまや新薬開発の成功率は3万分の1。薬によってはコストは数百億円かかる。人口わずか6460万人(2014年)の英国で新薬を開発しても儲からない、というのです」(都内の大学病院関係者)

 国が落ち目になると、良い医療が受けられなくなる。肝に銘じるべきだ。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。