専門医が病気になったら飲む薬

【うつ病】海外で相次ぐ自殺裁判 「SSRI」では治らない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 国内の自殺者数は3万人から減ったとはいえ、2万4000人ほどで横ばい状態が続く。リストラや年金不安、介護苦など社会を取り巻く状況は厳しさを増しているから、自殺の背景にあるうつ病を抱える人はむしろ増えているだろう。

 東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏がこう言う。

「うつ病の治療に使われる代表的な薬がSSRIや安定剤ですが、これらの薬を飲んでも、うつ病は治りません。それを知らずに飲み続けると、最悪の場合、自殺を助長しかねないのです」

 SSRIを服用した人の自殺報告は欧米で相次いでいて、製薬会社は遺族に莫大な賠償金を支払って和解に持ち込んでいる。なぜ薬が効かないのか。

「うつ病の人は頭痛や微熱、だるさ、腹痛、眼精疲労、不眠、動悸、食欲不振などあらゆる身体症状を訴えます。つまり、全身の病気です。ところが製薬会社はうつ病を脳の病気ととらえ、脳に作用する薬を開発した。それがSSRIです。だからおかしなことになるのです」

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