これで痛みを取り除く

「尿路結石の痛み」 経過観察中は非ステロイド性抗炎症薬

1カ月後に結石除去治療
1カ月後に結石除去治療(C)日刊ゲンダイ

 病気の3大激痛のひとつに挙げられる尿路結石の痛み。背中からわき腹にかけて強烈な痛みが表れて、時間の経過と共に痛みが下腹部に移動する。腎臓にできた結石が尿路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)に沿って下りてくるからだ。

 国際医療福祉大学三田病院・泌尿器科の荒川孝部長が言う。

「結石が腎臓にとどまっているうちは痛みが表れることはほとんどなく、あっても背部の鈍痛程度です。しかし、腎臓の結石が尿管に落ちると、七転八倒の激しい痛みが表れるのです」

 尿路結石の痛みは、結石によって尿管(直径5ミリほど)が傷つけられる痛みだけではない。結石が尿管に詰まり尿の行き場がなくなると、一時的に尿が腎盂にたまって腫れたり(水腎症の状態)、まれにではあるが、腎臓に小さな穴が開いて尿が漏れ出ることで、激しい痛みを感じる。

 人の尿管の長さは平均25センチもあり、部位によって神経支配が異なるので、背中から下腹部にかけて帯状に痛みを感じる範囲が移動する。

「よく背中と下腹部の2カ所に痛みを訴える患者さんがいます。それは結石が2つあるのではなく、1つの結石が2つの機序で痛みを発しているのです。水腎症や腎臓の炎症を合併していると、ウエストのベルトの上を叩くと飛び上がるほど痛みます。これは叩打痛と言って、泌尿器科特有の症状です」

 結石が膀胱近くまで下りてくると、頻尿、残尿感、排尿時痛などの膀胱刺激症状も表れる。結石が大きいほど痛みが強いと思われがちだが、逆に小さい結石の方が動きが速く、痛みも強い傾向があるという。

 痛みを取るには、非ステロイド性抗炎症薬(内服、座薬、点滴など)を使う。結石を取る治療をするかどうかは、結石の大きさが目安になる。長径10ミリ未満の結石の場合には、まず水分を多く取り自然排石を待つ(経過観察)。1カ月以上自然排石されない場合は、積極的な結石除去治療を検討する。

「経過観察中は、患者さんに痛みを取る薬を持たせておいて、2週間後の再診までに痛みが出れば来院してもらいます。そして経過を見ながら、痛みの頻度が多い、水腎症の程度が悪い、結石の下降が遅いなどがあれば、1カ月以内でも結石除去を行う場合もあります」

 結石除去治療は、体の外から衝撃波を当てる「体外衝撃波結石破砕術」や、尿道から器具を挿入して結石を取り除く「経尿道的結石破砕術」が行われる。

 ただし、尿路結石は、最初の発症から5年以内に約半数が再発するといわれる。そうなりたくなければ、食事の内容など生活習慣の見直しが大切だ。