身近な薬の落とし穴

風邪薬には“不必要”な成分も含まれている

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 また、ご存じの方も多いでしょうが、風邪薬で風邪の予防はできません。先日、「喉が痛くて、風邪薬を飲んだら悪化しなかった」と言われる患者さんがいらっしゃいました。しかし、この方の「のどの痛み」は非常に軽かったようで、おそらく薬を飲まなくても悪化しなかったと思われます。風邪を治すのは、あくまで自身の“身体の力”です。軽い風邪の場合、まずはしっかり水分を取り、睡眠などの休養をとることが一番の薬です。

 もちろん、どうしても鼻水を止めなければ仕事に影響が出るなど、薬が必要なケースもあると思います。しかし、“不必要”な薬を飲んで別の症状に悩まされたり、治りを遅らせてしまっては、もっと厄介です。

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中尾隆明

中尾隆明

1985年、愛媛県生まれ。愛媛県立南宇和高等学校を経て岡山大学薬学部を卒業。2008年からこやま薬局(岡山県)で管理薬剤師を務め、現在は企画運営部主任として各店舗のマネジメントを行っている。8月に著書「看護の現場ですぐに役立つ くすりの基本」(秀和システム)を発売。