愉快な“病人”たち

アッシャー症候群のジョー・ミルンさんは聾盲者メンターに

ジョー・ミルンさん(C)日刊ゲンダイ

「これからスイッチを入れますけど、心の準備はいいですか?」

 手術を終え、初めて音を聞いた時は、この上ない幸せとともに全身が感電したかのようにビリビリし、こんな感覚は生まれて初めてでした。今まで補聴器で拾っていたかすかな音とはまったく違う! 今まで私を支えてくれた人たちの声が聞こえるのが、何よりうれしく思いました。

 その時の様子の動画を友人がユーチューブにアップしてくれました。すると翌日、私の家にテレビ局や新聞社の取材が来て、アッという間に私は話題の人になり、「聾盲者のメンター」として啓蒙活動に携わるようになりました。

 まだ聴力を得てから日が浅いので、情報過多で疲れる時もあります。キッチンの時計の音ですら、不安に感じる時もあります。ただ、今はやかんのお湯が沸騰しても音で分かるし、視界は狭いものの生活に支障がなくなったので、盲導犬はいったんお返しして自分ひとりで行動しています。今回、日本にも私ひとりでやって来たんですよ。

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