病気に潜む「脳の異常」

慢性腰痛<1> 痛みの刺激が脳を壊す

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 腰痛は日本人の4人に1人が悩む国民病だ。その半数は痛みが3カ月以上続く慢性腰痛。内臓や脊柱周辺など痛みが特定されているケースは別だが、痛みの原因は取り除かれているはずなのに痛みだけが続いている場合、多くの患者がドクターショッピングを続けるという。

 実はこうした患者の脳には、ある共通の変化が見られることが分かっている。それが背外側前頭前野(DLPFC)の萎縮だ。福島県立医科大学医学部整形外科学講座の大谷晃司教授が言う。

「慢性腰痛の人は、脳の外側にある灰白質の体積が減っていることが確認されています。DLPFCはその一部で、痛みの情報を受け取った脳が興奮するのを鎮める役割を担っています。健康な人は、これが正常に機能しているから痛みを長く感じないでいられるのです。ところが、慢性腰痛の患者さんはその体積が健康な人に比べて極端に少なく、活動も衰えているのです」

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