重篤な糖尿病発症も “子供の感染症”は大人も侮れない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「突然、膵島細胞が破壊されて、インスリンが全く出なくなる1型糖尿病は、その多くが自分で自分を攻撃する自己免疫疾患だといわれています。しかし、その中には発症前に上気道炎などの感染兆候が見られるものがある。そのため、昔からウイルスが糖尿病発症にかかわっていると疑われているのです」

 実際、ウイルス感染で亡くなった小児の膵島を調べたところ、コクサッキーB群ウイルス、サイトメガロウイルス、先天性風疹などのウイルスが検出されている。

「他に、風疹ウイルス、EBウイルス、ロタウイルスなどが1型糖尿病に関連するといわれ、おたふく風邪の原因菌であるムンプスウイルスもそのひとつだとされています」(辛院長)

 徐々に血糖値が上がり、症状がじわじわ表れる2型と違って、1型糖尿病は数カ月で悪化する。

「中には1週間で症状が劇的に変化する『劇症1型糖尿病』にかかる人もいます。そうなると、数時間で多尿、嘔吐、腹痛などの症状が表れ、進行すると昏睡や意識障害が出て死亡することもあります」(辛院長)

 子どもの夏風邪といわれる「ヘルパンギーナ」の患者数も10年ぶりの高水準。手足口病やウイルス性胃腸炎の流行もこれからが本番だ。これらの中には2型糖尿病を含め、重篤な合併症を引き起こすものがある。子どもの感染症を甘くみてはいけない。

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