病気に潜む「脳の異常」

慢性腰痛<3> 腰より脳の治療を 鎮痛システムの改善も必要

脳で腰痛が治る?(C)日刊ゲンダイ

 脳で腰痛が治る──。ウソのような話だが本当だ。それは、福島県立医科大学整形外科チームが行う「リエゾン診療」の成功からも明らかだ。整形外科医だけでなく、心身医療科の精神科医、臨床心理士、リハビリの専門家、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーらが一体となって慢性腰痛の治療を行う診療方法だ。

 ある30代の女性は、10カ所の医療機関を渡り歩いた末、「リエゾン診療」にたどりつき普通の生活を取り戻した。彼女は高校生のときに椎間板ヘルニアの手術を受けてから慢性腰痛に苦しみ、車いすなしでは移動できなかった。

 同じ30代の男性は腰痛の原因がわからず、いくつもの病院を転々としていた中で「リエゾン診療」と出合い、完治したという。

 いずれも、どんな状況でどう認知し、どう行動したかをつづった「ストレス日記」が治療の糸口になった。「自分の考えを言えずに我慢していたことがストレスとなり、腰痛につながった」ことがわかり、それを修正することで治療が進んだのだ。福島県立医科大学医学部整形外科学講座の大谷晃司教授が言う。

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