病気に潜む「脳の異常」

慢性腰痛<3> 腰より脳の治療を 鎮痛システムの改善も必要

脳で腰痛が治る?(C)日刊ゲンダイ

「プライマリーケア受診の腰痛患者さんの85%は、画像検査では腰痛の原因が特定できない。いわば原因不明です。それでも、大多数の腰痛患者さんは1~3カ月で痛みは軽減します。しかし、それ以上の期間痛みが続く人は、治療が必要なほど脳にストレスがかかっている可能性があるのです」

 腰痛において、腰は単に「ここの具合が悪い」という情報を伝えるにすぎない。痛みを感じているのは脳だ。腰痛を治そうとするなら、脳の中でどのように痛みが生み出されていくかを知らなければならない。

「皮膚や内臓、骨などが傷ついたときの刺激を、末端神経先端の侵害受容体と呼ばれるセンサーが感知し、その情報が中枢神経から脳に伝わり、痛みに置き換わります。さらに、ダメージを受けた細胞から痛み物質が分泌され、それが神経の表面に付着することで電気信号が脳に向けて発せられ、脳が痛みと感じるのです」(大谷教授)

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