病気に潜む「脳の異常」

うつ病は「マインドフルネス」で負の堂々巡りをストップ

 例えば、がん患者は「暴飲暴食などムチャな生活をしなければよかった」といった過去の後悔と、「治療費が尽きたらどうしよう」などといった将来の不安にさいなまれ、うつ状態に陥りやすい。そして、「がんになった」→「がんになって死ぬのは悔しい」→「がんにさえならなければ、こんなことで悩むことはない」→「しかし、がんになってしまった」という「負の堂々巡り」の思考パターンに陥る。

 マインドフルネスでは、このような負の考えが通り過ぎるのを眺め、過去や未来ではなく「今ここ」だけに集中して、「負の堂々巡り」をストップさせる。

「今ここ」だけに集中する「マインドフルネス認知療法」は驚くべき効果をもたらす。英国オックスフォード大学の研究者が、うつ病再発経験者を対象に2年間にわたり「薬物療法を行う群」と「マインドフルネス認知療法の群」とを比較したところ、同等の効果が得られたという。

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