当事者たちが明かす「医療のウラ側」

一般女性は“鬼嫁”になる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 先日、大学の後輩の若手医師が結婚しました。相手は商社に勤めていた一般女性です。旅行先で知り合い、半年でできちゃった婚だそうです。

 幸せそうな後輩には申し訳ないけど、「これで彼は貧乏医者の仲間入りだなあ」と思い、かわいそうになりました。

 ご存じの方も多いでしょうが、大学病院の勤務医は給与が安いことで有名です。大学病院は「臨床」「教育」「研究」の3本柱があり、ある意味、若手医師は「ハク付けのため、働かせてやっている」という感覚があります。ですから、30代半ばで年収が600万円前後という医師も少なくありません。

 ところが、そんな事情も知らず、「医師はお金持ちで結婚相手としては最高」なんて思っている一般女性と結婚すると、大変なことになります。

 優しく、控えめなのは最初のうちだけ。子供ができると「鬼嫁」に変身し、教育費と自身の服や交際費に湯水のようにお金を使い、夫である医師の小遣いが5万円なんて人もざらです。

 夫である医師の多くは恋愛経験も浅く、生真面目ですから、「妻に満足してもらいたい」「将来、独立開業したい」と、お金に目覚め、研究日に他の病院でせっせと当直や外来のアルバイトをすることになります。しかし、そこで稼いだお金も、学会の年会費や同窓会費などに消えていくのです。

 それでも金持ち医者になりたければ、医師不足のエリアの病院に勤務するしかありません。

 かなり昔、ある医師専門の人材派遣会社が県別の医師の年収ランキングを出したことがありましたが、当時、最も年収が高かったのは青森県で、最低の山形県に比べて500万円以上の差があったと記憶しています。

 しかし、そこでも鬼嫁から「そんな田舎に住みたくない。子供の教育はどうするの?」なんて反対される。結局、都心に住みながら埼玉や千葉の不便な場所にある病院に、片道数時間かけて通うことになるのです。

 ですから、私は若手医師には、「結婚相手は同じ医者か、薬剤師や看護師などの医療関係者の方が、将来はラクだぞ」と言っています。

 結婚式場で満面の笑みの後輩の背中に、暗い将来を見たのは私だけではないと思います。